JHD(ジャパニーズ・ホット・デザイナーズ)シリーズ

第一回 木村裕治展

 

ASHUがシンガポールのパートナー E-ART-H WORKS社と共に企画制作する「ジャパニーズ・ホット・デザイナーズ(JHD)」シリーズがスタートします。































第一回は、アートディレクター、木村裕治氏。

木村氏は昨年、『朝日新聞GLOBE』のアートディレクションとデザインにより、ADC賞を受賞されたばかりです。この素晴らしいタイミングで、JHDシリーズの第一弾として本展を開催できることを、ASHUは、とても光栄に思っています。


 往年の『エスクァイア日本版』、かつての『翼の王国』『東京人』、そして現在の『ミセス』『和樂』。

それらの雑誌を中心として、日本のエディトリアル・デザインを常に最先端でリードしてきた木村氏のお仕事に対して、贅言を費やすことを慎み、代わりに、同時代の極めて優れたグラフィック・デザイナーのお一人である鈴木一誌氏の文章から引用いたします。


〈木村の態度は、真っさらな白紙に形象を配置して、奇抜なデザインを出現させることではない。かつて見たことのある断片を、紙上に集合させることだ。だが、断片どうしが、だれもが見たこともない組み合わせで紙上に定着されているのだから、木村のデザインは、いつも斬新である。ディテールは体験に根ざしながらも、全体は、再構成された現在形だ。だから、懐かしく、それでいて新しい。〉(『d/SIGN』2009年12月号より)


 この鈴木氏の文章の標題は、そのまま本展のタイトルとなりました。また本展は、会場構成の隅々まで作家自身のディレクションによるものであることから、展覧会それ自体が木村裕治氏の最新の作品となっています。



◆ ジャパニーズ・ホット・デザイナーズ・シリーズ

 「ザ・メイキング・オブ・ユウジ・キムラ(木村裕治の作り方)

      ~マージンズ・アンド・メモリーズ(余白と記憶)」展


会期:2010年2月5日(金)~2月26日(金)

会場:ジャパン・クリエイティブ・センター(シンガポール)

   www.sg.emb-japan.go.jp/JCC

   4 Nassim Road, Singapore 258372

   *入場無料。

開場時間:10:00~19:00

休館日:2月7日、8日、11日、14~16日、21日、22日(日・月・祝休)


◆ 木村裕治氏プロフィール

1947年、北海道生まれ。アートディレクター、デザイナー。武蔵野美術大学造形学部を卒業後、森啓デザイン研究室を経て、江島任主宰のデザイン事務所に10年間在籍する。82年に独立し、木村デザイン事務所を設立。87年、アートディレクターとして創刊号から参加した『エスクァイア日本版』は、その後のクオリティ誌の手本となる強烈なインパクトを同時代のデザイナーたちに与え、日本のエディトリアル・デザイン史における画期をなす。『翼の王国』、『ミセス』、『ハイファッション』、『和樂』、『暮しの手帖』、『東京人』など数々の雑誌に美しいデザインを与え続けるかたわら、ブックデザインの分野でも2002年度の講談社出版文化賞を受賞するなど活躍。2008年スタートした月2回刊の新聞内新聞『朝日新聞GLOBE』のエディトリアル・デザインにより、東京アートディレクターズクラブが選ぶ2009年度ADC賞を受賞した。



 会場となるのは、日本大使館直轄の真新しい文化発信拠点〈ジャパン・クリエイティブ・センター〉。シンガポールの目抜き通り、オーチャード・ロードのスタート地点に建つ、コロニアル風の瀟洒な建物です。会期中シンガポールにお出かけの際は、どうぞ本展にお立ち寄り下さい。



 JHDのロゴ・デザインは、シンガポールを代表するグラフィック・デザイナーであり、ASHUのアーティストでもあるテセウス・チャンが手がけました。今後のシリーズ展開の中で、シンガポールと日本の両国およびASEAN諸国のクリエイター同士による創造的なコラボレーションの可能性を、さらに探って行きたいと思います。